「……っ」



やめて。



「……は、なし……て」



やめてよ、そういうことするの。



「離してよっ」



香穂ちゃんとキスしたその口で、


そういうことしないで。



叫びながら手を引いた私は、


流川の顔をじっとにらんでから視線をそらした。



「ご飯作ってて、ちょっと切っただけだから」



立ちあがった私は、



「レンタル契約してるしね。私もお腹すいたからご飯作ろうかと思ったんだけど。まだ本調子じゃないみたい。
悪いんだけど、あとは流川……自分でやって」



流川の横を抜けて、部屋に戻ろうとした。



「おい」



のに。



「待てよ」



腕をつかまれて。



「なんだよ、その態度は」



ぐっと引かれて、よろめいた。



「ちゃんと手当しろ」


「……」


「出来ねーならやってやるから」


「……」


「何で黙ってんだよ」


「……」


「……お前な、いい加減にしろよ」



立ちあがった流川は、


私の肩をつかんで、正面に向き直らせた。