「流川は……学校」


「こんなになってる唯衣さんを置いてったんですか? なんて薄情なっ!」


「いや……流川は知らないし……」


「病院は? 薬は? メシは? 熱、どのくらいあるんですか!?」


「病院に行くほどのものじゃないみたいだし……薬は市販のを飲んだし……ご飯は……」


「顔、真っ赤ですよっ!?」


「……こ、光太くん……うるさいし寒いからとりあえずドア閉めて……」


「あ、すみませんっ」



部屋に上がった光太くんは、持参した冷却シートを私のおでこに貼り付けてベッドに寝かせて、


みかんをむいたりおかゆを作ったり、ひとりで勝手に世話をやいてくれた。



「唯衣さん、はい、これ」


「……今度はなに?」


「特製ジュースです」


「特製ジュース?」



布団から顔を出すと、


なにやら怪しげな色の液体が入ったコップを持った光太くんが得意げに笑っている。



「……なに? その……ほぼ黒い液体は」


「ニンジンとバナナと黒ゴマと、いろいろ混ざったジュースです」


「……いろいろって……」


「食べれないなら、これ、飲んでください」


「……むり」


「オレはいつもこれで治してるんですよ、風邪。大丈夫ですから飲んでください」


「……むり」



そんな色の液体飲んだら……余計に具合悪くなる。……絶対。