「もっと食べなきゃダメですよ」


「……お腹へってないんだもん」


「へってなくても食べなくちゃ治りませんよ」


「あとで食べるから。もういいよ光太くん。帰って。移るよ、風邪」


「唯衣さんの風邪なら移ったって平気です」


「……」



昨晩、要くんの部屋で真波さんと酔い潰れた私は、


冬の空気にさらされたせいか、まんまと風邪をひいて、熱を出した。



朝、流川が私を起こしに部屋に来たけれど、


私はかたくなに布団にもぐり込んだまま顔を見せなかった。



流川が出ていったのを確認してから起き上がろうとしたけれど、


カラダは言うことをきいてくれなくて。



麻紀に電話をして、結局、私は大学を休んだ。




夕方過ぎ、しつこくなっている呼び鈴にしぶしぶ起き上がって這いつくばりながら玄関のドアを開けると、



「唯衣さんっ、大丈夫ですかっ?」



どうやら麻紀から聞いてしまったらしい光太くんが立っていて。



「ふらふらじゃないですかっ! 流川さんは?」



しゃがみ込みそうになった私の肩をつかんで支えた。