「ごめんね。つい」


「いいえ。でも流川の顔に傷が残るところでした。

残ったら、私がオネエマンに殺されるところでした」


「ホントごめん。だってさ、要くんが殴られそうになってさ。思わず……っていうかあんまり覚えてないんだけどね」


「また殴ってくれませんか、流川のこと」


「は?」


「バカーって。何してんだーって」



そうだよ、また殴られちゃえ。



「あ、でも、傷は治る程度で。オネエマンに殺されちゃうんで」


「分かった。治る程度でね。まかせて」



なんか、真波さんものってきた。


私たち、ヤバイ?


ただの酔っ払いだなぁ。えへへ~。



その後も、きゅー、ぐびびと飲み続けた私たち。



「唯衣、大丈夫か?」



要くんが心配顔をしてる。


いいよ、心配してくれなくて。


それよりさ、ほら、真波さんもとろんとしてきたよ、目。



「要くんは、真波さんの、心配を、してなさい」


「ホント大丈夫か? もう飲むなって」


「要くんもさ、流川に会ったら殴っておいてよ」


「あのなぁ……」


「……あ、やっぱり、殴んないで」


「……」


「痛いの、可哀そうだもん」



ひいぃっく。


う~ん、美味いなあ、ぉ酒。



「真波さ~ん」


「な~に~?」


「私、眠くなっちゃいました~」


「私も~」



――ぱたん。


同時に倒れた酔っ払い2人。



要くんが、私と真波さんの肩を揺らしてたけど、


全然、起き上がれなかった。