「唯衣……、どした?」



要くんは、少し驚いた表情で私を見ている。



「あ、ごめ……ん」



どうしよう。


ホントに私、何してるんだろう。


よりによって、マナミさんがいるときに……。



私と要くんを交互に見ているマナミさんは、戸惑ってる様子だったけれど、


たぶん、ピンときたんだろう。



「ここ、開けっぱじゃ寒いし。とりあえず上がってもらおうよ」



そう言って、要くんを見上げた。



「あ、いや、いいです、ごめんなさい、帰ります」



頭を下げた私が帰ろうとすると、



「顔、直してからのほうがいいんじゃない?」


「え?」


「泣いてたの? 目は赤いし、ほっぺに線、いっぱい付いてる」


「……え?」



目元をぬぐうと、指先に冷たい水滴がにじんだ。



「あ、れ?」



……私、泣いてたんだ。


そんなことにも気づかないで、ここに来てたんだ……。



カッコ悪いのと、情けないのと、みじめなのと、


色んな気持ちがごちゃまぜになっちゃって。



「……ふぇ……」



みるみるうちに涙があふれてきた。



「ちょっと、こんなとこで泣かないでよ」



顔をおおった私の腕を引っ張ったマナミさんは、


「入りなよ。ほら」



中に入れてくれた。