「ねえ、唯衣ってば! 何なのっ? どーいうこと?


あの2人、そーいうことなの?


いや違うよね? アンタたち、別れたわけじゃないよね?


今のってどう見ても……私たちに見せるためにしたよねっ?」



麻紀がまくし立てている。



「ね、とにかくあっちに行こうよ唯衣っ」



腕を引っ張られて、一瞬ふらっとよろめいた私だったけど。



「いい」


「は?」


「いいよ、行かない」


「なんで? あっ、ほら、行っちゃうよっ?」



香穂ちゃんに腕を引かれて、流川が歩きだしている。



「唯衣ってばっ……」


「いいのっ」


「唯衣?」


「もういいや。何か疲れた」


「は?」


「どうせ部屋に戻ればいるもん、2人とも」


「そういう問題じゃないでしょ」


「いいよ」


「唯衣……」



ゆっくり歩き出した私の隣で、麻紀は解せない顔をしている。


ときどき、不安げに顔をのぞき込んで。



イルミネーションが、ちょっとだけぼやけている。


もしかしたら私、泣いてるのかもしれない。


でも、それもよく分かんない。



誰かと好きな人を奪い合うっていうのも初めての経験で。



恋愛は自由ってオネエマンの言葉。



私には……



すごく残酷な言葉だって、その時、身に沁みて感じた。