「何してんの? あの2人」



麻紀の眉間にシワがよっている。



「夕飯の買い出しかな?」


「あのね……唯衣、何おっとりしたこと言ってんのよ」



何だか私、ここ最近で流川と香穂ちゃんのツーショットにも慣れちゃってて。


特に不審にも思わず2人を見てたんだけど。



「電機屋で夕飯の買い出しする人がどこにいるってーのよ」


「あ、そうか」


「行ってみよ、あっちに」


「え?」



私の腕を取った麻紀が歩きだそうとしたとき、



「あ、気づかれた」



香穂ちゃんが、こっちを見た。


道路に背をむけている流川は気づいてないみたい。



ちょっとの間、じっと私たちに視線を送っていた香穂ちゃんだったけれど。



「あああっ!」



歩道に、麻紀のでっかい声が響いた。



「な、何してんのあの子!」



あわわと口をパクパクしている。



「ちょっと唯衣っ! 何あれっ!」



さらに大声を張り上げて。




無理もない。



流川の肩をつかんだ香穂ちゃんが……




その唇に、キスをしたんだから。