「この間のお客さん、あの人すっげー食べてましたよね。

ハンバーグ定食とラーメンと、カルボナーラまでペロリといってましたよね。

オレ、びっくりしました」



「そだね……」



加えて光太くんまで。


なぜか普通に部屋に遊びに来てるし。



「唯衣さん、このカエル、デカイですよね」


「うん、かなりね」


「唯衣さんくらいあるんじゃないですか、身長」


「うん、同じくらいあるかもね」



カエルを抱いた光太くんがその顔をしげしげと眺めていると、



「あたし、このカエルくん好きだなぁ」



横からカエルを取り上げた香穂ちゃん。



「唯衣さん、これってどこで売ってるんですか?」


「あ、それは友達にもらったの。誕生日プレゼントにって」


「へえ、そうなんですかあ。カワイイですよね」


「うん、まあまあね」


「いいなぁ、欲しいなぁ」



カエルは、私と流川のキセキだから、


あんまり……他の人に触ってほしくないんだよなぁ。



カエルを抱きしめて遊んでる香穂ちゃんの姿に、


私はふうっとため息をついて流川を見た。



カウンターで頬杖をついている流川は、お饅頭を指ではさんだままぼんやりと夜景を見ている。


最近の流川、ずっとこんな感じ。



「流川?」


「……」


「流川ってば」


「……ん?」


「フリーズ?」



あっちもこっちも気がかりで、


私もフリーズしそうな毎日。