流川が好き。



こういうところも、


なんだかんだ言って人を放っておけないところも、


オレ様なところだって、もう……普通に好き。


ドSは少々キツイけど。


でも好き。



隣を歩いていられることがうれしい。


レンタル契約を結んでいた夏休みのときみたいな関係じゃなくて、


ちゃんと、流川のコイビトとして歩けてることがうれしい。



冬の空気は冷たいけど、


流川のそばにいれば寒くない。



そんな気持ちを込めてきゅっとポケットのなかの手にチカラを込めると、


それ以上のチカラで握り返された。




駅前は、もうすっかりイルミネーションで埋め尽くされている。



「オネエマン、ガチガチになってないといいね」


「大丈夫だろ、もう」


「やっぱり仲良くしてもらいたいよね、家族なんだもん」


「……ああ、そうだな」



イルミネーションに浮かれて、スキップに近い足取りで歩いていた私は、


この時の流川の表情が、ちょっとだけ曇っていることに気づかなかった。