「香穂ちゃんもうなずいてたね」


「ああ」


「流川のこと、じーっと見てたね」


「そうか?」


「うん」



じーっと、と言うか……ぽーっとしてた感じだったけどね。



「流川、カッコよかったもんね」


「なにが」


「オネエマンのこと、ちゃんと弁護してあげてたもんね」


「事実を当たり前に伝えただけだろ」


「うん、でもカッコよかった」


「まあ、オレだからな」



ふんと笑う流川の顔に、「そだね」と言って笑い返した。



こんな時の流川の俺様発言は、しっくりくるから何も言い返せない。


流川がいて助かったもん。



それに比べて私ったら……。



「ごめんね流川」


「ん?」


「私さ、また変なこと言いだしそうになってさ。せっかく流川がイイこと言ったのに」


「ああ……、お店に来いってやつか?」


「うん。見てもらえれば分かると思ったんだけど」


「余計に怒らせちまうだろ、いきなりじゃ」


「だよね」



あははと笑って前も見ずに歩いていたら、



「きゃっ」



石ころにつまずいた。