紅茶を少し含んだお父さんは、
小さなため息とともにカップをテーブルに置いた。
「だがな……」
お母さんと香穂ちゃんを見て、
「ワシも母さんも香穂も、簡単にはうなずけない。
何年も会ってなかった息子が突然こういう姿になっていたんだ。
戸惑うのは当然だろう。
ワシらの気持ちも分かってくれないか」
もう一度ため息をついた。
「お前の言いたいことは分かった。
しかし時間をくれ。すぐにはやっぱり無理だ」
留美が静かにうなずくと、
「良かったな、仲間に恵まれて。
こうして着いてきてくれる友達もいるってことはお前は一人じゃないんだろう」
私と流川にほほ笑みかけたお父さん。
「迷惑をかけて申し訳ない。
これからも息子を……コイツと仲良くしてやってください」
深々と頭を下げられて。
「はい」
返事をした私と流川は、鼻をすすりっぱなしのオネエマンの肩をそっと叩いた。

