「座ってください。話を聞いてください」



お父さんを見上げた流川が、静かに口を開いた。



お母さんに腕を引かれて、お父さんが腰を下ろすと、


流川は膝の上で指を組んで、言葉を選ぶようにして話し始めた。



「武雄……いや、留美さんは辛かったと言っています。

そして申し訳ないとも。

自分がオトコであってオンナでないことに、これまで相当悩んだはずです」



流川の言葉に、オネエマンの頬に涙が伝った。



「留美さんは、何度もオトコでいようと思ったはずです。

でも、思えば思うほど辛くなる。切なくなる。

どうしたって、ココロは女性だからです。

本来の自分とは違う格好をして、人づきあいをして、

そうやって生きていくことの辛さを想像してみてください」



お父さんは黙って聞いてる。



「でも自分の気持ちに正直に生きようとすると、家族を苦しめることになる。

オンナとしての自分を認めてもらえない限り。

どっちも選べない生き方なんて……、

人として可哀そうだとは思いませんか」



お父さんの目を真っ直ぐに見ている流川は、


一呼吸おいてから言葉を続けた。