そこは一本道。

進んだ先に階段がある。

お兄さんの姿は..そこにあった。

じっと座って,こっちを見ている。
流石に私も気味が悪くなり,辺りの静けさがそれを増幅させた。


「こんにちは。」


静かだから気味が悪いんだ。

気がついたら私から声をかけていた。


お兄さんは驚いた表情で私を見上げた。


「....こんにちは。」


小さく返事が返ってくる。
少しだけ不安がなくなり,私はそのまま道を曲がった。


なのに,何故?


足音がまたついて来る...

あんな不安は初めてだった。


足音は,また私を追い抜く。

その先はいくつにも道が分かれていて,お兄さんはすぐに見えなくなった。


そこからうちまで2~3分。

走れば良かったんだ。

でも走れなかった。

だって,追いついてしまう気がしたから...