「 はい、シールあげる。」
「 さんきゅ。」
このやり取りのためだけに、私のお昼ご飯はいつもネコのシールがついたパンになった。
「 シール集まった?」
「 ん。あと少し… 」
席が隣り以外接点がまったくないから、ネコのシールの話しか私が彼との会話出来るきっかけがない。
本当は、もっと君のこと知りたい。
好きな音楽とか、彼女はいるのかとか…
いっぱい知りたいけれど、彼にとって私はただシールくれる隣りの席の女の子。
それ以外に私に対する興味なんてないと思う。
いっぱい話し掛けられてもウザイとか思われちゃうかもしれない…
だから、この微妙な距離でいるのが精一杯。
「 早く集まるといいね。」
…本当はそんなこと思ってない。
だってシールが集まったら、彼と私の接点がなくなってしまうから…。
そんな私の気持ちなんて知るよしもない彼は、
「 協力してくれてありがとな。」
と、私の大好きなはにかんだ笑みを浮かべるのだった…