大人っぽく、物静かそうな印象だった彼女は、ほんの少し時間が経っただけで、幼く、元気いっぱいの印象に変わり果てていると同時に、夢で見た彼女とは全く正反対の姿に変わってしまっていた。

コールランプに反応し、呼び出された台に駆け出す彼女。

「でも似合ってるよなぁ~。瞬もそう思うだろ?」

「はぁ…」

大島さんの言葉に、力無く答える事しか出来なかった。

適当な台に座り、打ちはじめたが、彼女の事が気になって全く集中出来ない。

「よう。目当ての台ってそれか?」

隣りの席に座りながら聞いてくるヒデ。

「え?あ…いや、埋まってた」

「だろうな。そんなデータの台、誰も打たねぇよ」

ヒデに言われ、データを見上げると、前日に物凄く爆発している台だった。

「マジだ…残りのメダル、打ったら帰るな」

「いや、帰るな」

「何で?」

「ビッグ入ってる」

ヒデに言われ、リールを見ると、わかりやすいリーチ目。

…ヤバい。あの子が気になってスロット所じゃねぇし…

ビッグボーナスを消化し、少しのメダルを流しに行くと、彼女では無く、男性バイトのナヨナヨした鈴木が駆け寄ってきた。