「夕べの残り物だけど…口に合うかな?」

少し照れながら缶酎ハイと肉じゃがを運んでくれた彼女。

肉じゃがを口に運んだ時、聖が凄く羨ましく思えた。

「超美味いよ。家の母親、ジャガイモ嫌いでさ、肉じゃがとか、居酒屋でしか食った事無いんだよね。ちょっと感動…」

「そうなんだ。元気つけてくれたお礼に、今度作ったら家まで届けてあげる」

「マジで?すげぇ嬉しい!…一つ聞いても良い?」

「何?」

「俺がタイプって本当?」

「…別れ話した時に、本当はタイプじゃないって言ったの。たぶん、それで言って来たんだと思う…」

「…そうなんだ」

…聞くんじゃ無かった…

言葉と一緒に缶酎ハイを飲み込み、タバコに火を点けた。

小さな期待は、いつもあっけなく砕け散ってしまう。

それとは反対に、夢で見た事は事実になっていく事に気が付いた。

…このまま近くに居たら、そのうち好きって言うんだろうな。つうか、ことみちゃんも好きって言ってくれる?…

他愛も無い事を話しながら缶酎ハイを飲み、ゆっくりと時間をかけて彼女の心の傷を癒し、彼女の傷が癒えた時に、自分の気持ちを伝えようと決心した。