「…会うなよ。絶対会っちゃダメだよ。社長に話せば絶対理解してくれるし、追い返してくれるよ。みんな、仕事中は厳しいけど、すげぇ良い人ばっかりだし、警察よりも頼りになるからさ。俺も協力するし、絶対二人で会っちゃダメだよ」

「…嫌われちゃうかもしれないよ?」

「大丈夫だって!ことみが良い人なのはみんな知ってるし、すげぇ頑張り屋なのもみんな知ってるから、嫌われたりしないよ。家の母親さ、ことみの事すげぇ褒めてるんだよ?好き嫌い激しい母親なんだけど、ことみの事すげぇ良い子だって毎晩のように褒めてるんだ。ことみみたいな娘が欲しかったって、酒飲む度に言ってるんだ。俺もヒデも、第一印象で好き嫌い決めちゃうんだけど、ことみの事嫌いって思った事なんか無いし、すげぇ良い子だなって思ってるもん。残業代出ないのに、あんな遅くまで残業してさ、すげぇ頑張り屋じゃん!文句も言わないで働いて、マジですげぇと思うよ?…つうか話し過ぎだね。ごめん」

「ううん。…もっと飲む?」

「うん。貰っても良いかな?」

ニッコリ笑いながら立ち上がる彼女。

制服姿でも無く、静かなパチンコ屋でも無いが、あの時の夢が現実になった気がした。