心の距離

それは強く印象に残る夢を見た事。

制服姿のことみちゃんに似ている女性と、静かなパチンコ屋の中で、僕が一方的に話している夢。

女性に対しあんなに積極的に話した事も無ければ、はじめて見た堅い彼女とあんな風に話せる訳も無い。

いつもは目が覚めると夢の事は忘れてしまうが、この日だけは目が覚めても鮮明に覚えていた。

…なんなんだ？すげぇ楽しかったぞ？こんな夢はじめてだ…

時計を見ると朝の６時。

軽くシャワーを浴び、支度をした後、会社に向かった。

会社に到着し、タイムカードを押した後、一台のワンボックスカーに数人で乗り込んだ。

現場に着き、作業をしていても夕べ見た夢が気になって仕方が無い。

「瞬、寝不足か？」

声をかけて来たのは現場監督の春樹さん。

「あ、いえ…すいません」

「女か？」

春樹さんの言葉に、ヒデの耳がデカくなった気がした。

「ち、違います！変な夢見て…」

「夢？どんな？」

「え？どんなって…そんな突っ込んで聞かないで下さいよ…大した夢じゃ無いんですから…」

「だったら仕事に集中しろ！」

「…すいません」

小さく呟くように謝罪し、夕べ見た夢を振り切るように仕事に集中した。