「あの…もし、宜しかったら今度食事に行きませんか?断る口実作ってくれたし、お礼したいんで…」

彼女の何気ない言葉に、頭の中にあった疑問が吹き飛び、小さく笑いながら告げた。

「俺も、サービス玉で勝った時のお礼がしたかったんです」

「じゃあ…チャラにします?」

「チャラにするんだったら、母親の荷物持ってくれた時のお礼させて下さい。今度、食事行きましょう」

「約束ですよ」

ニッコリ笑いながら小指を差し出され、小さく笑いながら彼女の小指に小指を絡ませた。

笑顔で手を上下に振る彼女が愛し過ぎて…

夢のような一時を終わらせたく無くて…

彼氏の時間が終わったせいで、抱き締める事が出来ないのはわかってる。

彼女の事をもっと知りたい…

せめて、もし少しだけ彼女の側に居たい…

理性と欲望が葛藤する中、指を離しながら笑顔で告げる彼女。

「今度、都合の良い日に行きましょうね!ちゃんと許可取りますから!」

「はい」

言葉を飲み込んだまま返事をし、会社を後にした。