平然と部屋に入って来る、白い子猫のことちゃん。

…お前じゃ無いんだけどな…

擦り寄って来る子猫を撫でながら、小さくため息をついた。

その日の夜、久し振りに夢に現われた彼女。

夢に現われた彼女は、僕の首に腕を回し、何かを告げていた。

携帯のアラームで目が覚め、夢を思い出しながら、小さくため息をついた。

夢に現われた彼女の声は聞こえなかったが、唇の動きで何を言っていたのかはハッキリとわかった。

彼女が言っていた『好き』の言葉。

…現実だったらすげぇ良かったのに…

体を起こすと、白い子猫がベッドから転がり落ちた。

…犯人はお前か…

小さく笑いながら子猫をベッドの上に乗せ、仕事の支度をはじめた。

集合時間が早過ぎるせいで、まだ辺りが暗い中、会社に向かった。

会社の前に停まっているワンボックスカーに乗り込むと、春樹さんが声をかけてきた。

「おはよっす。こんな時間に悪いな」

「おはようございます。何でこの時間なんですか?」

「聞いたろ?波乗りたいから、集合時間早めて良いかって。良いですよって言ってたじゃん」

「すいません…全然覚えて無いです…」

「ホント最近おかしいぞ?大丈夫か?」