「マネージャーと?禁止なんじゃ無いんですか?」

「理不尽だからな。あのマネージャー。自分は良いけど他はダメなんだと」

「そうなんですか…明日休みなんで行きます。ヒデにも声かけますね」

「おう。頼むな!」

大島さんと話した事をヒデに告げ、自分で決めた時間に帰宅した後、深夜0時に店の前に向かった。

店の前に居る、閉店まで打っていたヒデと、いつも置いてある黒いスクーターに座る大島さん。

急ぎ足で駆け寄ると、遅番のバイトの3人と、マネージャーが店から出て来た。

「よう。お疲れ。ことみ、飲みに行くぞ!」

大島さんの何気ない言葉に、少しだけ期待に胸が膨らんだ。

「飲めないんで行きません。つうか、勝手に座らないで下さいよ~」

「別に良いだろ?減るもんじゃないし」

「減るもん。大島さんメタボだから。もうすぐ臨月でしたっけ?」

「お前なぁ…疲れるからやめてくれよな!」

嬉しそうに笑いながら言う大島さん。

はじめて静かな場所で聞いた彼女の声に、小さな喜びを覚えた。