気持ちを入れ替えただけで、何故か清々しい気分になれた。

データを眺めながら良さげなパチンコ台に座ると、玉が出て来ない…

仕方無くコールボタンを押すと、ことみちゃんが教えている、研修服を着た江川さんが駆け寄って来た。

少し離れた場所でボーッと眺めていると、江川さんは申し訳無さそうに告げてきた。

「少々お待ち下さい」

軽く会釈をしながらタバコに火を点けると、江川さんはことみちゃんに何かを話しながら歩み寄ってきた。

「わかった。ホール見てて」

江川さんに告げた後、ことみちゃんは台を開け、台の裏を眺めた後、上から玉が落ちてくる部品を弄りはじめた。

台カウンターに膝を乗せ、上から落ちて来る玉も気にせず、両手を上げながら必死で台を直す彼女。

…今日、高い所の作業が多いな…

両手を上げる彼女を見ていると、唇が重なりそうだった夢が頭を過ぎった。

夢の中では、彼女の両腕の間にあった僕の首。

現実には何も無く、唇を噛みながら作業をしている彼女。

作業を終えると、台を閉め、ちゃんと玉が出ているかを確認し始めた。