心の距離

「彼氏の振りして、元彼と会って、彼女の隠してた過去知っても、好きな気持ちに変わりは無くて…
気持ち伝えようと思ったら、ヒデが彼女の心を壊して…
バカですよね。俺…
モタモタしてる間に、彼女と離れる事になって…
現実とは思いたく無かったんですよ。
目を見て話せないクセに、夢の中と同じように、何回もキスして、彼女の事抱いて…
俺の独り善がりだったんですよね。
指切りしたのに、約束も守れないし、気持ちも伝えられないし…
サヨナラさえ言えないで消えるんすもん。
目を見て話せないんすもん。
心の距離が縮まる訳無いですよね…」

ため息混じりに言い切った後、グラスの酒を一気に飲み干した。

タバコに火を点けた後、春樹さんは眉間にシワを寄せながら聞いてきた。

「…まだ間に合うんじゃないのか?」

「いえ…彼女には、夢の中で起きた事にした方が良いですよ。彼女、超しっかりしてるけど、すげぇ弱い子だから…
長い夢の中で起きた事にした方が良いような気がします」

「…お前はそれで後悔しないのか?」

「これ以上後悔する事は無いですよ…ただ、今すぐ…無茶苦茶彼女に会いたいです…」