翌朝、久し振りに熟睡したせいか、目が覚めると頭の中はスッキリしていた。

僕の腕の中で、気持ち良さそうに寝息を立てる本物の彼女。

悪戯心に火が点き、彼女の鼻を軽く摘んだ。

猫のように手を払う彼女に、小さく笑いながら告げた。

「おはよ。そろそろ行くね。帰って着替えなきゃ」

「ん…もうそんな時間?」

「うん。また後でね」

「瞬くん…」

「ん?」

眠そうな表情のまま、口を動かす彼女。

声は聞こえなかったが、唇の動きで何を言っていたかわかった。

小さく笑いながら彼女に優しく唇を重ね、後ろ髪を引かれる思いでベッドから降りた。

「ありがとね」

幸せそうに微笑みながら、告げてくる彼女。

服を着た後、彼女に熱いキスを送り、笑いかけながら小さく告げた。

「遅刻しないようにね」

「うん。また来てね」

「次は…夢じゃなくて、リアルで来るね」

幸せそうに微笑みながら頷き、小指を差し出す彼女。

小指を絡ませながら優しくキスをし、彼女の家を後にした。

『次は、本音を言いに来るね』

喉まで出掛かり飲み込んだ言葉。

朝日を浴びながらゆっくりと歩き、現実へ向かって行った。