心の距離

「あ…嫌な思いして怯えてるんだから、猫ちゃんの方から近付いて来るの待ってあげなきゃダメですよ?」

ため息をつきながら立ち上がり、キッチンで手を洗う彼女。

ドライヤーを片付けた後、冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、彼女は僕の手からビールを奪い取った。

「たまにはアルコール抜かなきゃダメです。アル中になっちゃいますよ?」

睨み付けるように告げてくる彼女。

ため息をつきながら小さく答えた。

「…大丈夫だよ。まだ20代だし」

「そんなの言い訳になりません。ここの所、毎日二日酔いだし…昼間から飲んだくれてどうするんですか?」

「…飲みたいだけだよ」

「最近おかしいですよ?キスしただけなのに…こんな風になるなら、キスなんかするんじゃ無かった」

冷たく言い放ちながら冷蔵庫を開け、ビールをしまう彼女。

「…わかったような口聞くなよ。何も知らないクセに」

「だったら話してよ!何をウジウジしてるの?男だったらハッキリしなさいよ!」

糸が切れたように怒鳴りつけられ、自分の中の何かが弾け飛んだ。

「妬いてんだよ!猫には笑いかけるけど、俺には冷たいだろ?自分の責任だってわかってるけど、すげぇ妬いてんだよ!」