恋するキモチ

「おはよう」

登庁して最初に会ったのは杉本だった。声をかけると彼女は嬉しそうに笑って、おはようございます、と答えた。


…この顔だよ。
これに勘違いしたんだ。


他愛もないことを話ながら部屋に向かう。
自分の隣にちょこんと並び、時折身ぶり手振りを交えて話をする彼女は、やはり可愛いと思う。
声をかけてやったときに笑う笑顔も、とても嬉しそうに見えるので、自分に好意があるんじゃないかと勘違いしても可笑しくないと、成田はうんうんと一人頷いた。

「成田さん?」

「あ?ああ、悪い、なんだ?」

うっかり考え事に意識がいってしまい、会話をちゃんと聞いていなかった。


しまった、怒るか?


幾度となく、これで相手を怒らせたことがある。またやってしまった、と思っていたら、杉本はチョコ好きですか?と聞いてきた。