「私のせいで辛いとか言ってたわけ?」

にっこりと笑って聞くと、彼女はごにょごにょと小さな声で、それは言ってないけど、と、俯いた。

「でも、ちょうどあのくらいの時期からなんです!あれが原因です!」

きっぱり言い切る彼女を見て、私は笑顔は崩さず、だが、心の中で特大のため息をついた。


あぁ、なんて面倒なのに捕まったんだろ。


「洋司が辛いと感じててその原因が私だとして。なら洋司が直接言いに来なさいよ」

これ以上構ってあげるのも面倒になった私は伝票を持ったまま立ち上がる。

「貴女が私にどうこうしろって言ってくるのははっきり言って筋違いだし、当の本人がお願いしてもいないのにそんなことしにくるなんて、貴女達のただの自己満足のためだけでしょ?貴女達が満足するために私が何かしてあげるなんて、聖人君子じゃないんだもの、そんな義理は全くないわ。はっきり言って、不愉快だし迷惑よ」

京子の言葉に、彼女は絶句し、口をパクパクとさせている。

「ま、これが洋司に頼まれて私の所に来てるんだったら、私はあいつとこれから先一生、もう会うことも話すこともしないわ」

そう言うと、ここのお茶代くらいは出すわ、と言って、席を立った。