恋するキモチ

京子と希美は、近くにあったチェーン店の居酒屋に入った。

「でもま、これで洋司とは別れられたからいいんじゃない?」

店員さんが持ってきてくれた生を一口飲んで、希美が言う。
京子は眉をひそめた。

「別れられたのはいいけど、成田さんのことをおっさん呼ばわりしたことは一生許さない」

一気にジョッキを空にする。

「でも、洋司をフォローするわけじゃないけど。成田さんは確かにおっさんよ?もういい年だし」

希美が言うと、京子ははぁ?と叫んだ。

「何言ってんのよ!成田さんはおっさんなんかじゃないわよ!あんなに現場でバリバリ働いてて、頼りがいもあって。何より、昔…」

言いかけたところで京子は口をつぐんだ。
希美も持っていたジョッキを置いて、小さく、そうだね、と呟いた。

「店員さん!おかわり!もー、ジャンジャン持ってきて!」

京子はそう言って、持ってくるお酒を次々と飲み干していった。