「近いうち、また、捜査本部がここに置かれるかもしれん。まだ、決まった訳じゃないが‥頭の片隅にでも置いておいてくれ」

三井はそう言うと、成田の肩をポンポンと叩いて、その場を後にした。


まだ、終わってなかったのか。


落としたコップを拾い、床にぶちまけてしまったコーヒーの後片付けをする。


くそっ‥
俺は、また‥


床を拭く手が止まる。


いろんな記憶が蘇ってくる。
あの時の音が、匂いが、温度が。

まるで今、体験しているかのように。