第6章  【再会】


あれから数日がたった

会社からの電話も出デずに外出も控えていた

お母さんは「なんで辞めたの?」って聞いてきて

理由は適当に言っておいた

お父さんは何も言わずに、いや言ってくれたが

「お前が決めたことなら何も言うことはない」と言ってくれた

その言葉が嬉しく思った

何よりも自分の選んだ道を受け入れてくれる人がいたからだ

あの会社を退社してから何度か彼に電話してみたが出てくれなかった

とても寂しく思えた

拒絶されているのだろうか?

それとも体調が悪化したのか?

彼のことを思うと胸が苦しくなる

あと1ヶ月、私は彼を見守り、何かの助けになればと思っていた

出来れば「好き」という言葉を言って

なんて返ってくるか判らないけど返事が聞きたかった

でも会社を辞めたばかりで、外出もおぼつかない

明日こそ、彼の家に行ってみよう・・・何度思ったことか

でも実現していなかった

断れたら、いや多分、断られるに決まっているんだろうけど

自分の気持ちを伝えて、あとの人生を私は傍にいたい

会社を辞めたことに後悔はないけど、あのCMが実現しないことが

本当は後悔していた

自分に撮影能やブッキングの力を持っていたら、自己製作で

見てほしいと思えるような内容だったからだ

それだけ自信があった

彼に見てほしかった