「ねぇ・・辞めるなんていう必要ないよ?俺だって何度あんなふうに

仕事を回されたか覚えてないし、失敗だなんて思っちゃいけない

仕事は続けないと駄目だよ」って言ってくれた

でも私は私の出来る全てを出し切った

彼と見たあの景色を彼が生きているうちに見せてあげたかった

それが出来ないのなら、この仕事に意味はない

私は矢田さんに言った

「お願いですから、あの作品を一度見てください

私の人に伝えたい気持ちが全て詰まっていますから・・・

よろしくお願いいたします」

言い終わった後、矢田さんは「判った。でも辞める必要はないんじゃない?」

って言ってくれたけど、もう自信がなかった

入社して初めて夕方5時を待たずに私は退社した