「う~ん・・・駄目だね。他の人に頼もう!

お~い!!矢田ぁ。。。このCM担当してくれ!」

遠くから矢田さんが飛んできて上司の山田部長から

CMのコンセプトを軽く説明し委託してしまった

私は山田部長から

「最初はこんなものだ・・・頑張ったのは認めるけど

これを次に繋げて、もっと表現力を出さないと駄目だよ

それにタレントが殆ど出てこないじゃないか?

もっとバランスを考えてだなぁ~・・・・」

私の頭の中は、それ以上の言葉を受け入れていなかった

山田部長はベラベラと話しているのだが

私は相槌をいれることも頷くことも何も出来なかった

上司からの評価はNG

それだけは事実だ

理由はバランス?タレントの顔をあまり入れなかったから?

部長が話し終わらないうちに私は言ってしまった

「私、会社辞めます!」

「え!?」目の前には驚いたような顔をした部長がいた

「いや、これが最初の仕事じゃないか?

君の意見を全部否定しているわけではないし

仕事を誰かに回すことは時間の問題だから仕方ないだろうよ?

辞めるって本気?」

私は彼の顔だけしか見えなかった

いま彼は何を考え何をしているんだろう?

「はい、今日付けで退社にしてください」

本当に良いのか?そんなに急いで答えを出さなくてもって

私も私の頭の中で言っていた

山田部長も「ほんとうに・・いいのか?後悔しないか?」と

何回も聞いてくれた

それでも、私は彼にこれから会いに行きたかった

何故あんなに惹かれたのかは判らないけど

私の直感はそう言っている

部長の言葉を聴きながら私は席から離れて自分のデスクに戻った

コーヒーの1杯くらいしか置けないくらいに

乱雑したデスクだったが、何かやり遂げた感じだった

あれ以上の表現は私には出来ない

仕事を受け継いだ矢田さんがやってきた