「どうしたんだろうな、水谷…。」


フェンス越しに見える風景は、いつもより綺麗に見えた。


「敦君はね、このままいても私には何もしてやれないからって……。
付き合ってるのに、逢えなくて、たまの電話しか出来ない。これ以上、花梨を縛りたくないって……
違うのに……。

そんなの、違うのに……。

好きだから付き合うんじゃないの?

私は…毎日一緒にいれなくてもいいのに……。」


コンクリートに、彼女の涙の染みが出来る。