シャンプー液を手の平に出して、花梨の髪に馴染ませた。


「気持ちいい?」


コクンと首を縦に振った。


「綺麗な髪が、すっかり傷んでしまったね。」


ゆっくり、丁寧に洗う。


気持ちいいのか、目を閉じている。


此処に来て、久しぶりに見た花梨の穏やかな表情。


「流すよ?」


洗面器にお湯を入れて、花梨の頭にかけた。


泡と一緒に、僕の目からも涙が流れた。