「許さない…。」


「桜井君…何するの?怖いよ。」


花梨の顔が、ますます恐怖で歪む。


「花梨、君が悪いんだ。帰るだなんて言い出すから。
これは、お仕置きだよ。」


「変だよ…桜井君。どうしちゃったの?」


止まる事なく花梨の頬に、涙が流れる。

「変なんかじゃないさ。君は、此処で暮らすんだよ?
ずっと二人で…。」

「ずっと…暮らす?」


「ああ。家に帰ったら、また悪い人が君に興味を持つからね。迷惑だろ?君も。」


「どうしてそうなるの?
此処で暮らすって、学校はどうするの?家族だって心配するじゃん。」


「学校…?家族…?そんなもの要らないだろ?
僕達が愛し合ってたら…。
もうこれ以上、僕を嫉妬に狂わせないでくれ…。」