「お嬢様、ご機嫌をお直しくださいませ」


今年で60歳の、結奈の身の回りの全てを任されている"ばあや"が手をやいていた。


「嫌です!!わたくしはお散歩に行きたいのですっ」


今日が誕生日なだけに、自宅にはたくさんの人が押し寄せてきていた。

そんな中、外出なんてできるはずもない。


「明日にしましょう?ね?」


何度ばあやが宥めても無駄。


「わたくしは今日行きたいのです!!見てみなさい。こんなにいいお天気…」


そう、理由は天気がいいから。

ばあやも大変だ。




「で、でしたら少しお待ちください。ご主人様にご相談してきますから」


そう言うと、急いで部屋を出て行った。


「もう、いいわ!!わたくし一人で行きますっ」


そしてついに、一人で部屋を飛び出してしまった。