「いっぱい着いたんですねー。もう誰か場内とか決めたんですか?」

私は人差し指を黙ってハヤトに向けた。

「え? 俺?」

着いたばかりで、まだロクに会話もしていないのに、私は即ハヤトを場内指名した。

とにかくもう眠くて眠くて話せない。
だったら早くチェックを出して帰ればいい話なのだが、
この時の私に「帰る」という選択肢は無かった。
もはや帰るのも厳しいほど眠かったのだ。

だから、誰か場内でも入れればもう話さなくてもいい。寝れると思ったのだ。

そして、ようやくハヤトが着いた。
もう彼以外に指名したいと思えるホストは、この店に居ない。
会話なんてロクにしてないけど、そんなことどうでもいい。
彼のブログを見た瞬間、私はもうすでに分かっていたのだ。

私と彼は、どこか同類の匂いがする。

なぜかそんな根拠の無い自信と、確信めいたものがあった。

ブログを読んだ瞬間の直感だった。
こうやって実物を目の前にして、自身の直感が外れていなかったことを私は瞬時に悟っていた。
こんなに惹かれたホストは初めてだった。


そんな確信と共に襲ってくるのは強い睡魔。
徐々に薄くなっていく意識の向こうで、
ハヤトの顔がだんだんぼやけていく。

そんなぼやけた視界でもなお整って見えるハヤトの顔を眺めながら、

あぁ やっぱり 間違いない

と、改めて確信し、
私は目を閉じた。



なんてったって、マザー・テレサだよ?

そんな感性の持ち主、まさに私のストライクだ。