「いらっしゃいませ。初回ですよね。ハヤトくんの紹介ですね?」

こちらから声を掛けるまでもなく、キャッシャーに居た内勤はそう一気に捲くし立てた。


「ハヤト?」

聞き覚えのある名前に首を傾げ、私はさっき貰ったばかりのうちわを見た。
そのうちわの上部には、小さくボールペンで「ハヤト」と書かれている。

そうだったんだ…
あの「私好みの男の子」がハヤトだったんだ。
そういえば、ブログに載っていた写メの彼と同一人物だと言われれば頷ける。
彼がハヤトか。
そっか。
彼があのブログの「ハヤト」


そんなことを思いつつ、私は卓へと案内された。


最初のホストが着いた瞬間、私はハヤトの存在を忘れた。
初回にありがちなホストの高いテンションに吊られるようにして、
頼んだ果実酒がどんどん無くなっていく。

次々と目まぐるしく変わっていくホスト達と話し、
飲み、飲み、飲み、飲みまくり・・・

気付いたら、私の酔いレベルは最高に達していた。


眠い。もう ゲ ン カ イ


早く寝たい。ここで今すぐ寝たい。
頭にあるのはもうそれだけだった。

今誰か場内入れたら寝れるかな?

でも、誰を場内に入れる?

すでに何人もホストが着いているハズなのに、なぜか思い出せるのは2、3人だけ。
印象に残るようなホストはほとんど居なかった。


ふとその時、「ご一緒してもよろしいですか?」と、新しいホスト着いた。

その顔を見て、なぜだか私は心底安心した。
あーやっと寝れる。


着いたのは「ハヤト」だった。