小さな願い

「亜衣は何があったの、結局、」


「ほぃ?」


「だから、中学のころなんかあったんでしょう!?」


昼休み、梨佳と二人で話していた



「うん、色々と…」


「そろそろ、話してくれてもいいんじゃないの?」


「うん…」


「まだ、言えないならいいけど」



「話すと泣かない自信がないから…」



「うむ、だったら、このやさしい梨佳ちゃんが胸をかしてあげるよ」





「中学の入学の日に慎ちゃんに会ったの…それから、色々あって、付き合うこと

 になって、でも…」



次の言葉が出るのがこわかった…



涙が流れそうでこわい…

最後まで話さなくちゃ、


「で、付き合って2年半くらいになったころに、慎ちゃんが死んだ…」



涙があふれ出した

慎ちゃんはたくさんのことを教えてくれたのに、なのに…

慎ちゃんが死んでからは泣き虫になってしまった




「そっか、でも、もうあたしが胸を貸す必要はないみたいだね」


「ぇ…?」



梨佳がドアのほうを指差した