小さな願い

「本当は逃げてるだけだろう!!」


何も知らない人なのに…なんで…?



なんで、亜衣の考えてることがわかるの?!




確かに慎ちゃんが死んでからは、




慎ちゃんとの思い出を思い出さないようにしていた




慎ちゃんとの思い出はどれもきれいで…


大切な大切な宝物だった。






なのに、それをあたしは忘れようとしてるなんて…


最低だぁ





「俺、ハンカチ持ってないっすよ」




涙が頬を伝わってるのがわかった…


自分が再び泣いていることに気付いた





慎ちゃんに出会ってから3年後の桜はとても切なかった


まるで、亜衣と慎ちゃんの恋の終わりを示しているようで…



花びらが舞い散って、やがては落ちる



初恋は終わりを告げている






でも、慎ちゃんとの恋は「終わり」という3文字はない




恋はすべて終わる恋じゃない





この、終わらない恋を信じて、亜衣は前に進められるかな…?



そして、




空を見あげると…


どこまでも広がっている雲に手を伸ばした…