「荷物。」


第一声がそれだった。


「さっさと運んでよ、くそガキ」


腹が立つも何も、あたしは呆気にとられてた。

挨拶も無し、いや、それよりこの人…いつからここにいたの。

頭が一瞬でパンクしそうになった。


「逸美」

「あんた、親父?」

「そうだ」

「そう、どうでもいいや。部屋は?」

「お前、その態度は何だ」

「関係なくない?あたし住む所無いから来ただけだから。家族になりにきたんじゃないし」


空いた口が塞がらない。

この女、一体何?


「部屋は二階だよ。」


顔色一つ変えないで、そう言ったのはお母さんだった。