そして紅馬が言った通り、番号を交換して一緒にトイレを出た。今考えれば、あたしってトイレで告白されたんだ…。
『じゃあ、またな』
「うん…」
紅馬くんはあたしの頭を撫でると、あたしを見ないで手を振った。
それが可愛くて返事も返せなかった。いつのまに、こんなに好きになったんだろ。
「萌香ー!」
あたしが叫びながらシンと静まった教室に入ると、ぎょっとした顔であたしを見た。
「やばい、紅馬と付き合った…」
『…は?紅馬って、安達?』
「うん!!」
『……良かったじゃん!!おめでとっ、おめでとっ』
萌香はあたしの手を握って回った。
『あ、朝子にも報告しなきゃ!ちょっと待ってて!』
あ、あたしが朝子を呼んでこなきゃだったのに。
『良かったね、楓!もうあたし、泣きそうだよ』
朝子が教室に入ってくるなりの、第一声。朝子は本当に目に涙を浮かべ笑っていた。
『初めての彼氏だよね?』
「うん!」


