柏木はオレの姿をみとめて、踊り場まで下りてくる。 「お願いがあるの」 向かいに立つなり、柏木は言った。 その顔は思いつめてて、オレは嫌な予感がした。 「あたしを抱いて」 オレは、響いた声に驚いた。 何か言う間もなく、柏木は俺の胸に飛び込んできた。 とっさに、その体を受け止める。 「響くんがあたしを好きじゃなくてもいい。付き合ってくれなくてもいい」 柏木はオレの制服をぎゅっと掴んだ。 「一度でいいから、響くんの特別になりたい」