「か、柏木…!?」


必死な形相に、オレは驚いた。


柏木はオレの両腕に痛いくらい爪をくいこまる。



『好きな子』と聞いて、思い浮かぶのはヒナの顔。


それを振り払うように、頭を横に振った。



自分勝手に血をもらっているオレには、ヒナを好きになる資格なんてない。



「それなら、付き合うだけ付き合ってくれてもいいじゃない…!」


柏木の瞳から、ボロボロと涙がこぼれ、唇をかみしめている。



そんな姿を見ていると、オレの胸も痛む。




それでも、



「ダメなんだ」