血を吸われることがなくても、日は過ぎてゆき、

二か月近く経った。



あたしにとっての非日常に慣れない。


おかしな話だよね。


これが日常のはずなのに、

日常から外れているように感じてしまう。




そして、10月最後の日。



「きゃー! 響くん、ドラキュアの衣装がすっごく似合ってる!!」


昼休みの教室には、女子の騒がしい声が飛び交っていた。


そのどれも、神藤くんに関するものだ。



「たかだかハロウィンの仮装なのに、相変わらずすごい人気ね」


隣に座っている里枝が神藤くんを見ながら言った。


「…本当にね」