「…ん」 あたしは眉を寄せて、唇をきゅっと引き結んだ。 痛いわけではない。 だけど、彼の牙があたしの内を通る違和感は、いつまで経っても慣れなかった。 ゴクンと音が微かに聞こえた気がした。 と思う間もなく、神藤くんはあたしから離れ、 今度は唇に触れる。 いつものこと。 彼はあたしの血を飲み、キスをする。 自分の味のキス。 この異常な雰囲気に頭がクラクラする。 あたし、どうしてこんなことになってるの…?