静まった教室に一歩、足を踏み入れる。


誰もいないかと思ってたそこに、彼がいた。



西日に照らされながら、机に伏せて眠る彼、神藤 響(シントウ ヒビキ)くん。


あたしの机はその隣。


荷物をそこに置いたままということもあって、彼に近寄った。



熟睡しているのか、その足音にも目を覚まさない。


神藤くんは左腕をまっすぐ前に伸ばし、その上に頭を右向けてのせている。


下を向いていないから、その顔がうかがえた。




サラサラの薄茶色の髪の毛。


長いまつげ。


薄い唇。




彼を間近で見た瞬間、触れたいと思った。