親父は、普段はのんきだが、 やるときはやる人だ。 会社のことも、俺らには、 一切、継げと言わない。 ただ、どこかで継がなきゃ いけないと思っていた。 やることなんて全く持ってないから それでもいいと思っていた。 でも、中途半端な俺は、 やっぱりどこか逃げているんだ。 自分自身から逃げて、人を避けて、 傷つかないように殻にこもっている ことで逃げていたんだ。 欲しいものがなかった。 あの時までは。