「愛香・・」 「あっ、ごめんなさいっ・・」 一樹から逃げるなんて、最低。 むしろ近づきたいのに。 「俺が、怖い?」 必死にブンブンと横に振る。 怖い、違う。 怖いわけじゃない。 違うの、だから。 そんな悲しそうな顔しないで。 「好きっ・・・」 気づかぬ間に流れていた涙を拭いながら、言った。 「好き、一樹が好きなのっ」 その直後に、私の大好きな匂いがした。