デスゲーム

「雫……?雫、どうして振り返らない?」


その場から微動だにしない。風でたなびく髪を、アスタリスクの髪止めで押さえている。

なぜ振り返らないのだろう。ずっと…3日間も待っていたのに。


「隼人君……いじぃ……意地悪…で…すからぁ。も、もじ…振りが…ってぇ……だれ゛も…いながっだらぁ…」


雫はベンチから立ち上がり数歩進み、両手を口に当てた。

俺の声を聞いてから泣き出したのが分かった。不安で、怖くて。大丈夫、声だけじゃないよ。


「大丈夫。俺はここにいるから」

「ぞの大丈夫が…一番……嫌い。嫌い!……ぎらいぎらい……ぅっ…ぎらぁいぃ…」


いつもより小さく見えた。俺を支え続けた大きな存在が…頼りなく、儚く、小さな子供のように。


「分かった。じゃあ俺は意地悪だ。雫が振り返るまでずっと待ってる」

「ぅうっ…ぐっ……ぁあ……」


泣き声だけが響き渡る。雫は何度も何度も、涙をぬぐい続けた。

それでも…こっちを振り返ようとはしない。